2022年2月27日
場違いな原稿依頼
<span></span>そんな馬鹿な! と私は叫んだ。
日本ウインドサーフィン協会から、原稿依頼。私は、この30年というもの、海水浴もしたことない、古典研究者で、しかも老教授。そんな、私に何の用である。急いで、依頼先に電話したのは、いうまでもない。そこでようやく、サーフィンと、ウインドサーフィンが別物であることを知った。あぁ、帆が付いてるやつですかぁ、くらいの認識なのだ。では、『万葉集』の研究者の私に求められているのは、いったい何か? 8世紀のなかごろにできた歌集の研究者に、いったい何の用が――。聞けば、「日本人の自然観」を書いてほしいということであった。まいった。手も足も出ない。どうしよう。
一週間、煩悶したしたが、はたとひらめいた。風だ。風をどう感じて、それがどういう歌になっているか、書けばいいのだ。ウインドサーフィンは、風を感じるスポーツではないか。ここは、風しかない。