MESSAGE FROM THE SEA

東京湾に生命の輝きを
求めて #6

PICTURE & WORD
2021年11月15日
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「ワカメは真冬に大きくなる」

真冬には東京湾の水温も急激に落ち込む。キューンと冷えた海水を好むのは、ノリやワカメなどの海藻類だ。とくにワカメは日差しをいっぱいに受けてぐんぐんと成長をとげる。浅瀬の岩礁域や堤防には、自生した数メートルにも達するワカメが繁茂している。ゆったりと波にたゆたう姿はとても美しく、これが東京湾の現実なのかと我が目を疑ってしまうこともある。

早朝、ノリの収穫を終えた漁師たちは、おかず用にワカメを狩って寄港することもよくある。千葉県船橋市冲三番瀬(1993年)

写真・文◎中村征夫(なかむら・いくお)
1945年秋田県潟上市生まれ。1976年フリーランスの写真家として独立。東京湾をライフワークに取材を重ね、現在も進行中。第13回木村伊兵衛写真賞、第26回土門拳賞、2007年日本写真協会年度賞等を受賞。著書にルポルタージュ「全・東京湾」「遙かなるグルクン」など。