MESSAGE FROM THE SEA

東京湾に生命の輝きを
求めて #5

PICTURE & WORD
2021年10月20日
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「潮の流れのままに、妖しく、美しく」

手をつけばズブズブと埋もれてしまうほどの砂泥地を好む江戸前産のムラサキハナギンチャク。イソギンチャクの仲間だが、棲管(せいかん)という筒状の構造物を作り、危険が迫ると目にもとまらぬ速さで筒の中に身を隠す。長く伸びた触手は美しく、潮の流れにゆらめくさまは誰をも虜にするほどの妖美を漂わせている。

直径40センチを越す大型のイソギンチャク。白や黄色、紫など色彩変異に富んでいる。千葉県袖ケ浦市 (2021年)

写真・文◎中村征夫(なかむら・いくお)
1945年秋田県潟上市生まれ。1976年フリーランスの写真家として独立。東京湾をライフワークに取材を重ね、現在も進行中。第13回木村伊兵衛写真賞、第26回土門拳賞、2007年日本写真協会年度賞等を受賞。著書にルポルタージュ「全・東京湾」「遙かなるグルクン」など。