WATERMAN'S TALK

「今こそウォーターマンスピリッツが必要な時代」

今月のウォーターマン
2021年8月28日
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PROFILE

  • スヴェイン・ラスムッセン

    SVEIN RASMUSSEN
    STARBOARD社 CHIEF INNOVATOR

12歳から「瞑想」を取り入れて、トレーニングの集中力をアップ

WATERMAN’S TALK(今月のウォーターマン)は、毎号一人のWATERMANを紹介していく連載企画です。WATERMANの一般的な定義はありませんが、ここでは「海が大好きで、海に感謝の気持ちを持ち、海の窮状を目の当たりにして海のために何か行動を起こしている人物」とします。3回目に登場するのは、スターボード社でチーフイノベイターを務めるノルウェー出身のスヴェイン・ラスムッセン氏です。ラスムッセン氏はプロウインドサーファーからイクイップメントサプライヤーに転向し、革新的なボードを開発するなど素晴らしい経歴の持ち主。今では環境問題についても考え、世界の将来に対して本気で取り組んでいます。

━━━ ご自身のことについて教えてください。

私はノルウェーの南部のアーレンダールという小さな町で生まれました。2〜300年前、私たちの街ではボートを作るのがとても上手く、ヨーロッパ最大のボートビルディングコミュニティーの一つでした。

━━━ ウインドサーフィンを始めたきっかけは何ですか?

子供のころに父がナショナルジオグラフィックの子供版をくれました。確か1976年だったと記憶しています。そこにはウインドサーフィンについて書かれていました。もちろん、それまでウインドサーフィンのことはまったく知りませんでした。その雑誌に、ウインドサーフィンをしている一枚のきれいな写真が掲載されていたことを覚えています。この本をきっかけにウインドサーフィンにのめり込みました。私の姉が船長とお付き合いをしていて、彼には夏の間に時間の余裕がありました。そこで私は彼が主催するサマースクールに参加し、彼と遊びに出かけてウインドサーフィンのことを学びました。家族の誰かがウインドサーフィンに興味を持っていると、情熱が生じてくるものです。これはとてもラッキーな状況でした。この考えを与えてくれた父に感謝したいです。

━━━ ノルウェーでは夏のシーズンがそれほど長くありませんが、冬の間にどのようにウインドサーフィンのレベルを上げていたのですか?

ノルウェーの冬はとても寒く、水の中に落ちたいと思わないくらいの冷たさです。私は自分が知らないことについて学ぶことにとても興味がありました。セーリングについての戦略や戦術についてです。そして、コース上の戦略、風のシフトアウト、雲の動き、潮の流れを読んでいました。また、12歳の頃から瞑想をするようにしました。そのおかげで集中して訓練をすることができるようになりました。他にもたくさんの異なるスポーツを学び、トレーニングをしていました。例えばテコンドーのような格闘技。これらを一緒に活用しようと試みましたが、結局はウインドサーフィンが一番楽しいスポーツでした。

━━━ 1984年のロサンゼルス五輪や多くのレースで世界を転戦していたと思いますが、ウインドサーファーとしての経歴を教えてください。

ロス五輪は素晴らしい経験でした。プレ五輪の大会で2位となり、とても興奮したことを覚えています。しかし、本番では11位でした。その後プロツアーで10年ほど世界を飛び回り、日本選手権には10年連続で出場しました。日本はノルウェー以外では一番好きな国の一つです。そこで多くの友人とおしゃべりをすることが大好きでした。

━━━ イクイップメントサプライヤーに転向した時期とそのきっかけを何ですか?

ウインドサーフィンのボード開発に携わり始めたのは、たしか1993年頃でした。なぜあえてそうしたかというと、日本に素晴らしい友人がたくさんいたからです。そして、ニューカレドニアのジャン・ルイ・コルマとともにボードを作り始めました。それから少し経って、日本の素晴らしい企業と取引を始めました。私がツアーに参加していた時、ボードはとても薄いものでした。ご存知のように、ウインドサーフィンが前進するには多くの風を得る必要があります。私が競技を始めた1976年、77年に話を戻すと、ボードの扱いは容易だけど、リグは重いものでした。その後扱いづらくなったので、私はより長くて幅広のボードをイギリス人のジェイミー・リーバーと開発し始めました。将来的には幅広いボードが主流になると思い、共同でボードをシェイプし、そこで生まれたのが、Go Boardです。このボードは非常に素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。

マングローブの植樹を通じて、CO2削減に貢献

 
 

━━━ 子供の教育、環境問題などグローバルな観点からたくさんの活動をしていると聞きます。あなたの考えをお聞かせください。

気候変動、プラスチック問題が地球を汚染しています。我々はすべてのこれらの有害な化学物質、農薬や肥料の使用を停止する必要があります。今の時代から子供たちとこの問題を共有しなければいけません。私たちが世界中に十分な数の木を植え、森林破壊を止め、火事と戦うと、地球は再び二酸化炭素を捕獲し、それを地表に戻すことができるようになります。これは私たちが未来のために行う仕事です。次の未来を確保するために私たちを駆り立てるのは私たち自身のDNAです。そこで、私たちが見つけた解決策は、マングローブの植樹です。マングローブの木はおそらく地球上で最も効果的な二酸化炭素吸収体であり、わずか20年間で最大1トンの二酸化炭素を隔離できるということでした。これにより、二酸化炭素排出量の約10倍が吸収されます。とても簡単なことです。

━━━ 我々ウォーターマンは、地球規模の環境問題にどのように立ち向かうべきでしょうか。

世界の環境問題は悪化しています。でも、諦めてはいけません。私たちは未来を変えることができます。戦い続け、考え続けましょう。前向きでいれば、奇跡が起きます。今の時代、新しい物事に挑戦するためには、スポーツマンの精神、そしてウォーターマンスピリッツが必要です!

日本のウインドサーファーへのメッセージ

日本は海に囲まれていて、どんなスポーツもできる素晴らしい国です。波があり、風もあり完璧な場所です。日本は世界で大きな力を持ち、おそらく最もリスペクトされている国の一つです。海を保護することはとても重要です。海、自然、友達なんでも良いです。皆さんが愛するものを守り続けてください。