JWA REPORT

企業のSDGs活動の一環として
JWAをサポートしてほしい

INTELLIGENCE
2021年8月28日
main image

PROFILE

  • 斉藤リョーツ

    RYOTSU SAITO
    株式会社風波アソシエイツ チーフプランナー
    「WATERMAN’S PRESS」プロデューサー
    ラジオパーソナリティー

ウォーターマンとしての自覚があるから、オーシャン・クリーン・プロジェクトに積極的になれる

ウインドサーファーたちに、海洋プラスチックごみの回収を呼びかける環境プロジェクト「オーシャン・クリーン・プロジェクト(以下、OCP)」。7月22日(木/祝)の「海の日」に、鎌倉市、逗子市、葉山町の協力・後援のもと予定されていたキックオフ・イベントは、残念ながらコロナ禍の感染拡大により緊急事態宣言明けに延期になりましたが、そんなことはおかまいなしと言わんばかりに、日々このプロジェクトの推進に努めるウインドサーファーがいます。ラジオパーソナリティーとして活躍する一方、風波アソシエイツのチーフプランナーとしてOCPを企画した斉藤リョーツ氏です。かつてはプロウインドサーファーとして活動していた斉藤氏。「これからは、ウォーターマンとして海に恩返しがしたい」と言います。そんな彼に、日本の海のこと、日本のウインドサーフィン界のことについて聞きました。

━━━  OCPを企画されたのは、何かきっかけがあったんですか?

以前から、海に恩返しがしたいという気持ちがあって、OCPのことも考えてはいたんですが、なんとなく具体化に踏みきれなかった。そのモヤモヤした状況を一変できたのは「ウォーターマン」という言葉との出会いがあったからです。ウォーターマンの定義に関しては、おそらく僕は他の人よりも緩やかだと思います。ウォーターマンって、真摯に海と向き合う人のことなんだなと、ある時、自分の中でストンと腑に落ちたんです。要するに海が好きで、いつも海のことを考えている人は、みんなウォーターマンなんだと。そんなふうに気持ちがすっきりしたら、迷いなくOCPのプロジェクトを進められるようになりました。

━━━ 自分もウォーターマンだという自覚を持ったということですか?

その通りです。ウォーターマンとしての自覚を持ったことで、これまで以上に海のことを想うようになりました。人からなぜそんなにOCPを一所懸命にやるのかと問われたら、今なら、シンプルにこう答えます。「自分はウォーターマンだから」と。

━━━ OCPを今後、どのように推進していく予定ですか?

ウインドサーフィンをやっているみんなに、プラごみ回収の習慣化をアピールしていくことはもちろんですが、このプロジェクトを通じて、多くの人に「ウォーターマン」という言葉を知ってほしいですね。そして、それぞれに自分なりの「ウォーターマン像」を描いてもらいたい。そうすると、きっと海の環境改善につながる様々なアイデアが生まれると思います。

━━━ 斉藤さんと海との関わりについて少しお聞きします。ウインドサーフィンを始めたのはいつ頃からですか?

大学のウインドサーフィン部に入ってからです。バブル期の終わり頃でしたが、当時はウインドサーフィンをやっていると女の子にモテると錯覚して。現実はそんなことはなかったんですけど、結局入部して続けられたのは憧れの先輩がいたからなんです。ウインドサーフィンがうまくて、ルックスも良くて、海と向き合う姿勢もなんとなくかっこよくて。その先輩のようになりたくて、ウインドサーフィンにのめりこみました。そして大学卒業後にプロウインドサーファーになったんですけど、バブルが弾けて、世間のマリンスポーツ熱も急速に冷めていって……。そんな中、大会のMCをやるようになって、それをきっかけにラジオパーソナリティーの仕事もするようになりました。マネージメント、プロデュース、プランニング、企業との折衝など、何でも自分でやらなければならなかったので大変でしたが、取材の仕事で全国の海に行って、そこで多くの仲間と知り合えたのは貴重な財産です。最近、沖縄で当時の仲間に久しぶりに会ったんですが、2〜3日前に会ったかのように互いにフレンドリーでいられた。こんなうれしい時間を過ごせるのも、ウインドサーフィンのおかげですね。

テレワークの普及にともない、マリンスポーツに関心を持つ人が増えている今、マリンスポーツ業界全体が連携して施策を図るべき

━━━  ウインドサーフィンは今も続けていらっしゃるんですか?

もちろんです。先輩のウインドサーフィンのショップで、ビギナーに教えたりもしていますし。コロナ禍の影響でテレワークが普及して、湘南に引っ越したのを機にウインドサーフィンを始めたいという人も増えていますので、海に入る頻度が多くなりました。最近は、SUPフィッシングにもはまっています。海が凪いでいる日は、早起きしてSUPで沖に出て釣りを楽しんでいます。実は、SUPフィッシングをやるようになってから、海洋環境の悪化をいっそう実感するようになりました。今までも、ウインドサーフィンをやっていて、浮いているごみにフィンが引っかかって大怪我をしたり、海面が赤潮で覆われることがあったりして、海が良くない状況にあることは感じていましたが、海のゴミを拾うのは簡単ではないし、なかなか行動に移せなかった。でもSUPフィッシングなら、それをやりやすいので、無理なく海のごみを拾っています。

━━━  ウインドサーフィン人口の減少について、どのように感じていますか?

若者のクルマ離れもあって都心から海に行くのは大変ですし、ウインドサーフィンは道具を揃えるのにお金がかかる。なので、すぐに愛好家を増やすのは難しいかもしれませんが、SUPの普及や移住者の増加などによって、海と向き合う人は増えています。そんな中、SUPをやっている人がウインドサーフィンを間近で見てやってみたくなったり、その逆もあるかもしれない。これからは、ウインドサーフィンだけとか、サーフィンだけとか、SUPだけとか、一つを極めるというより、様々なマリンスポーツを通じて海と仲良くしたいという人たちを「環境関心層」と捉えて、彼らとの付き合い方を考えていくべきです。そうすることでマリンスポーツ業界全体のボトムアップに繋がると思います。

━━━  確かにSUPを始めた人が間近でウインドサーフィンを見たら、やってみたくなるかもしれませんね。

そう思いますし、そうなったらしめたものです(笑)。そういう人は僕が絶対にウインドサーフィン愛好家にしてみせます。僕もいろいろなマリンスポーツを経験していますが、ウインドサーフィンをやると、ウインドはやっばりいいなと思うんです。ウインドサーフィンは、心から海っていいなって思わせてくれるスポーツで、僕にとってはそこが魅力です。

━━━  斉藤さんは、WATERMAN’S PRESSのプロデューサーの役割も担っていらっしゃいます。WATERMAN’S PRESSを今後どのようなメディアにしていきたいですか?

冒頭で言ったように、僕はWATERMANという言葉を広義に捉えています。海が好きで、海のことを考えている人。さらに言えば、海だけでなく、自然のこと、地球のことを考えている人、と広げてもいい。WATERMAN’S PRESSはそんな人たちが集い、学ぶ場であり、環境に関して様々な考え方をもつ人たちの発信の場になったらと考えています。それは一言で言えば、WATERMANたちが交流する場ということです。それと、企業にもぜひ応援してほしい。昨今、SDGsということが盛んに言われていますが、WATERMAN’S PRESSの発行理念をご理解いただければ、WATERMAN’S PRESS、あるいはJWAの活動をサポートすることは、SDGsの達成に寄与することになると気づかれるのではないでしょうか。来年は、WATERMAN’S PRESS主催の環境シンポジウムの開催も予定しています。ぜひたくさんの企業のサポートを期待しています。

━━━  最後に何かメッセージをお願いします。

環境問題というのは、自然環境なんて人間が支配できるという奢った考えの所産ですが、そうじゃないということが、最近になってようやく誰もが実感するようになりました。それは言い換えれば、人間は自然の前では謙虚でなければいけないということに気づいたということです。僕たちが常に謙虚な気持ちでいれば、きっと環境問題は克服できると信じています。このことは、人間同士のコミュニケーションにおいても言えることです。僕は仕事柄、いろんな人と話す機会がありますが、言葉を選んで謙虚に話をする人は、人を引きつける力を持っています。謙虚でいることの大切さ。海はそんなことも教えてくれました。海が教えてくれることはたくさんあると思います。WATERMAN’S PRESSを通じて、そんな海の偉大さを若い人たちに伝えていけたらと思います。

OCEAN CLEAN PROJECT Instagram
https://www.instagram.com/ocpj2021/