MESSAGE FROM THE SEA

海洋考現録

東京湾に生命の輝きを
求めて #3

PICTURE & WORD
2021年8月28日
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「眠りについたマゴチの顔」

夜の東京湾に潜るのはとても楽しい。日中、江戸前の魚たちは警戒心が強く、素早く姿をくらますことが多い。だが、夜は寝入っているので触れんばかりの距離で撮影することができる。写真は40センチほどもあるマゴチだが、砂地にひれ伏すように眠っていた。扁平な体型がどことなく親しみやすく、コバルトブルーの瞳には吸い込まれそうな魅力を感じ、しばらく見入ってしまった。

可愛らしく見えるマゴチだが、やや上から見下ろすと強面の表情となる。カメラ位置によって魚相も変わる。千葉県君津市(1993年)

写真・文◎中村征夫(なかむら・いくお)
1945年秋田県潟上市生まれ。1976年フリーランスの写真家として独立。東京湾をライフワークに取材を重ね、現在も進行中。第13回木村伊兵衛写真賞、第26回土門拳賞、2007年日本写真協会年度賞等を受賞。著書にルポルタージュ「全・東京湾」「遙かなるグルクン」など。