MESSAGE FROM THE SEA

海洋考現録

東京湾に生命の輝きを
求めて #2

PICTURE & WORD
2021年7月25日
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「絢爛豪華な堤防」

東京湾の沿岸はほとんどが護岸に阻まれているため、岸から直接海に入ることは叶わない。わずかに残された貴重な干潟も、常に開発計画の矢面に立たされ、湾岸域に暮らす人々にとっては東京湾は近くて遠い存在になってしまった。東京湾に潜るには船舶の利用は欠かせないが、航路も複雑で危険性が高いため、潜水はもっぱら堤防の周辺海域ということになる。一見無機質に見える堤防も、間近で見ると付着生物で溢れかえり、それぞれの個性が鮮やかに主張しているようで驚愕する。

イソギンチャクやホヤ類、ケヤリ、ムラサキイガイなどが隙間なく生息する護岸。千葉県袖ケ浦市 (2002年)

写真・文◎中村征夫(なかむら・いくお)
1945年秋田県潟上市生まれ。1976年フリーランスの写真家として独立。東京湾をライフワークに取材を重ね、現在も進行中。第13回木村伊兵衛写真賞、第26回土門拳賞、2007年日本写真協会年度賞等を受賞。著書にルポルタージュ「全・東京湾」「遙かなるグルクン」など。