WATERMAN'S TALK

「みんな、WATERMANになろうよ!」

今月のウォーターマン
2021年6月22日
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PROFILE

  • 小野 敏廣

    TOSHIHIRO ONO
    WATERMAN’S PRESS 発行人
    株式会社風波アソシエイツ 代表

誰もが注目する環境カルチャー・マガジンを目指して

WATERMAN’S TALK(今月のウォーターマン)は、「WATERMAN’S PRESS」編集部が毎号一人のWATERMANを紹介していく連載企画です。WATERMANの一般的な定義はありませんが、ここでは「海が大好きで、海に感謝の気持ちを持ち、海の窮状を目の当たりにして海のために何か行動を起こしている人物」とします。
記念すべき創刊号に登場するWATERMANは、「WATERMAN’S PRESS」発行人で、風波アソシエイツの代表でもある小野敏廣氏です。

━━━ 連載の第1回に、発行人自らが登場するのは異例のことですね。

WATERMANという言葉が持つ意味は奥深くて、僕などまだまだそれを名乗るに値しませんが、半世紀近くウインドサーフィンをやってきて、海にはずいぶんお世話になった。その海がこのままじゃダメになってしまう、何かできることはないかとずっと考えてきたんです。でも、いいアイデアが浮かばない。そんな時「WATERMAN」という言葉に出会って、これだ! と直感したんです。海のために何かしようと呼びかけても、なかなか意識の輪は広がらないけど、「みんな、WATERMANの自覚を持とうよ! 」と呼びかければ、なんだかかっこいいし、きっとウインドサーファーたちの海を思う心に響くんじゃないかと。僕自身、「オレはWATERMANなんだ」と意識するようになったら、ピンと背筋が伸びて、これまでにも増して海のことを考えるようになって……そんな自分をかっこいいと思うようになりました。手前味噌だけど、僕が「今月のウォーターマン」に出ようと思ったのは、私自身が思いの丈を込めて、まずはウインドサーファーたちに、同じスポーツを愛する仲間として「WATERMANの自覚を持とうよ! 」と叫びたかったからなんです。

━━━ WATERMAN’S PRESSを発行した一番の目的は?

WATERMANが増えて、それぞれに活動を始めた時に、それを発信していくためです。自分の活動が紹介されたら励みにもなるだろうし、その記事をきっかけにWATERMANの輪が広がるかもしれない。それと、「WATERMAN’S PRESS」の記事を他のメディアが取り上げてくれることを期待しています。若いWATERMANたちには、SNSなどで「WATERMAN’S PRESS」のことを積極的に宣伝してほしいですね。

━━━ 近年、ウインドサーフィン人口は減少し続けています。

「WATERMAN’S PRESS」を発行したもう一つの目的は、その問題に起因しています。なんとか減少傾向を食い止めたい……JWA(日本ウインドサーフィン協会)のサイトでは、初心者に向けたウインドサーフィンの道具や楽しみ方、大会の結果などを紹介していますが、そもそもこのスポーツに少しでも関心のある人しかサイトに訪れることはない。ウインドサーフィンがスポーツニュースなどで報道されることはまずないですし、この状況が変わることはない。一方、「WATERMAN’S PRESS」は、SDGsの時代にあって誰にでも読んでもらえる「環境カルチャーマガジン」を目指しています。環境NPOのスタッフや学生の皆さんにも注目してもらえるようなメディアにしていきたいと考えています。それにより、ウインドサーフィンというスポーツの奥深さに気づいてくれる読者が増えることを願っています。

旺盛な好奇心を持って海と向き合ってほしい

━━━ 小野さんがウインドサーフィンを始めたきっかけは?

29歳の頃、義理の弟の勧めで始めました。最初は茅ヶ崎のGODDESSというショップで道具を借りて。今でもよく覚えていますが、すぐドン深になる浜から出ていって、なんだこのスポーツは、と悪戦苦闘しながら、1回目は全くダメでした。でも2回目のときは、リグが風をはらんでスルスルと動き始めて……経験したことのない感覚でした。風の力だけで進む、こんな乗り物があるのかと感動して、それがハマるきっかけになりましたね。

━━━ 今も現役のウインドサーファー。半世紀近くにわたり海と向き合ってきたんですね。

実は、僕はかつてリクルートに勤めていたのですが、39歳の時にあのリクルート事件に関わったとして、東京拘置所に3か月半、特捜部の調べは半年以上にわたりましたが、そのときウインドサーフィンがどれほど心の支えになったことか。拘置所では差し入れてもらったウインドサーフィンの雑誌を読みながら、ここを出てウインドサーフィンをやれる日のことばかり考えていました。拘置所を出てからは、時間に余裕もでき、本格的にウインドサーフィンにのめりこみましたね。ウォータースタートができるようになったのもこの頃です。拘置所でウインドサーフィンを渇望した3か月半……この経験がなければ、きっとこんなに長くウインドサーフィンを続けてこなかったと思います。

━━━ 最後に、後進のウインドサーファーに何かメッセージをお願いします。

海ってなにか不思議な力を持っていると思うんです。海に入ると、その力に感動したり、時には圧倒されたりすることもあるんだけど、地球の7割は水でできていて、人間のカラダも同じように7割が水でできている……そんなことを考えると、私たちが海に魅かれるのは当然なのかもしれないし、海から得られること、学べることはたくさんあると思う。若い人たちには常に好奇心旺盛に海と向き合ってほしい。余談ですけど、僕がリクルートの創業経営の先輩たちから学んだ一番大事なことは、“人は何によって突き動かされるのか“と言うことを考え、実践し続けるということでした。自分もこのWATERMAN’S PRESSが、”海、川、雪—-水の惑星に感謝し、それを愛する多くの人たち“に届き、一人でも多くの共感してもらえるWATERMANの輪が広がりますように願っています。